脱サラ農業・ブルーベリー農園の開業リアル|YouTubeで見る農園づくりの記録
ブルーベリー観光農園はどうやって生まれるのか。開業までの道のりや経営のリアルを発信するYouTubeチャンネルから、農園づくりの舞台裏をのぞいてみましょう。
ブルーベリー摘み取り園の始め方をやさしく解説。苗木から収穫までの年数、10アールあたりの木の本数、防鳥ネットやトイレ・駐車場などの設備、食品の許可や保険の確認、料金の決め方の考え方を県の資料をもとに紹介します。
夏になると、多くの家族連れでにぎわうブルーベリーの摘み取り園。「自分でも摘み取り園を開いてみたい」と考える人もいるでしょう。この記事では、苗木を植えてから開園するまでの年数、畑の広さと木の本数の目安、必要な設備や手続き、料金の決め方の考え方を、県や研究機関の資料をもとにやさしく説明します。
ブルーベリーは、摘み取り園(観光農園)としての経営が多い果樹です。東京都の「東京都果樹農業振興計画」では、都内のブルーベリーは直売とあわせて摘み取り園としての経営が多く、「都民の憩いの場」としても期待されていると書かれています。東京都農林水産振興財団の研究資料でも、ブルーベリーは「都内では特に摘み取り園向けの果樹として人気が高い」とされています。
茨城県の「茨城県果樹農業振興計画」でも、県南地域では柿と並んでブルーベリーの「観光直売型の産地」ができていると紹介されています。
ブルーベリーは、苗木を植えてすぐに実を収穫できるわけではありません。資料にのっている目安は次のとおりです。
| 時期 | 木のようす・作業 | 出典 |
|---|---|---|
| 植えてから2年目まで | 枝をのばすことを優先し、実をつけさせない | 山口県農林総合技術センター「ブルーベリー加工用栽培マニュアル」 |
| 植えてから3年目 | 果実の収穫ができるようになる | 同上 |
| 植えてから3年ほど | 出荷できるようになる | 東京都 報道発表資料(新品種の苗木について) |
| 植えてから5〜8年 | 木が大人の木(成木)になる(品種によってちがう) | 岩手県農業研究センター「ブルーベリーの特性評価と優良品種の選定(追補)」 |
つまり、実を摘めるようになるのは早くて3年目ごろ、たくさんのお客さんを迎えられるほど木が育つには、さらに数年かかると考えておくとよいでしょう。最初の数年は、木を育てながら開園の準備を進める期間になります。鉢植えの場合の育ち方は、鉢植えから収穫までのタイムラインも参考になります。
ブルーベリーは大きく分けて、寒さに強い「ハイブッシュ系」と、暑さや乾燥に強い「ラビットアイ系」があります。系統によって木の大きさがちがうため、植える間隔も変わります。
| 系統 | 植える間隔の例 | 10アールあたりの本数 | 出典 |
|---|---|---|---|
| ハイブッシュ系 | 1.8m×3.0m | 180本 | 山口県 経営指標資料「21 ブルーベリー」 |
| ラビットアイ系 | 2.5m×3.0m | 100本 | 同上 |
| サザンハイブッシュ(樹皮培地栽培) | 列の間2.5〜3m、株の間1.5〜2m | 166〜266本 | 山口県「ブルーベリー加工用栽培マニュアル」 |
| ラビットアイ(樹皮培地栽培) | 列の間3〜3.5m、株の間2.5〜3m | 95〜133本 | 同上 |
10アールは1,000㎡で、学校の25mプール(約300㎡)のおよそ3面分の広さです。実際の摘み取り園の例として、福島県農業総合センター会津地域研究所の資料では、30アールの観光ブルーベリー園(10アールあたり250本植え)で、観光園に向く品種の組み合わせが調べられています。千葉県でも「観光・直売に適するブルーベリーの品種選定」の研究が行われてきました。
摘み取り園では、お客さんが歩く通路も必要です。木と木の間を広めにとると、ベビーカーや車いすでも通りやすくなります。
山口県の経営指標では、10アールあたりの数字が次のように示されています。
作業時間のうち、収穫と出荷が4分の3ほどをしめています。摘み取り園では、この収穫の作業をお客さんが楽しみながらしてくれるので、人手の負担を軽くできるのが大きなメリットです。茨城県の計画でも、成園化で生産量が増える中、収穫作業の省力化が課題とされ、一部の地域では収穫などを手伝う「サポーター」の導入が始まっています。
熟したブルーベリーは鳥の大好物です。実を守るためにネットはほぼ欠かせません。山口県の資料では、約2アールの小さな畑を対象にした簡単な防鳥・防虫ネットの資材費が9万円程度とされています。4mm目のネットを使えば、イラガ類などの害虫もふせげます。くわしくは鳥害・害虫対策ガイドをご覧ください。
お客さんに長く過ごしてもらうためには、トイレと手洗い場が大切です。岡山県のブドウ観光農園の利用者調査では、トイレの満足度が14項目の中で最も低く、利用状況に合わせた数の設置や清潔さの向上が必要とされました。山形県の観光農園向けの資料でも、手洗い場をわかりやすく示すこと、ドアノブや便座などみんなが触る場所をこまめに拭くこと、ペーパータオルを使うことなどが紹介されています。
車で来るお客さんが多い地域では、駐車場が必要です。岡山県の調査でも、駐車場は利用者の満足度を調べる項目のひとつになっていました。そのほか、受付や料金を払う場所、日かげで休めるスペース、容器やはさみの貸し出しなども考えておきましょう。
山形県の資料では、お客さんが両手を使えるように、ごみ袋などを服に洗濯ばさみで留める方法が事故防止の工夫として紹介されています。脚立や踏み台を使う場合は、特に注意が必要です。
摘み取り園の料金には、大きく分けて「時間内食べ放題」と「摘んだ分を重さで払う量り売り」があります。それぞれのよい点と注意点は、食べ放題と量り売りの料金比較ガイドでくわしく紹介しています。
料金を考えるときは、「出荷したらいくらで売れるか」と比べるのがひとつの目安になります。たとえば山口県の資料では、JA山口県が扱ったブルーベリーの販売単価は、1kgあたり1,200円(2019年)、2,208円(2020年)、1,666円(2021年)、2,218円(2022年)と、年によって大きく変わっています。摘み取り園では、この単価に加えて、次のようなことも考えて料金を決めます。
全国の摘み取り園がどのような料金にしているかは、全国のブルーベリー狩り農園一覧でも見くらべることができます。
摘み取り園は、木が育つまでの時間と準備が必要ですが、お客さんの笑顔を間近で見られる楽しい仕事です。まずは実際の摘み取り園を訪ねて、運営のようすを見てみることから始めてみましょう。
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