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ブルーベリーの受粉と実の大きさの研究|ハチの働きでわかったこと

ミツバチ・マルハナバチ・野生のハナバチの働きと、実のつき方や大きさ(種子数)との関係について、国内外の研究結果を、数字つきでやさしく解説します。花に虫が来ているかを見る視点など、家庭で役立つヒントを各研究にそえてお届けします。

研究・論文

ブルーベリーの実の大きさや数は、受粉の出来ぐあいに左右されます。花粉を運ぶ虫が少ないと、実が小さかったり、落ちたりすることがあります。とくにラビットアイ系は、ほかの品種の花粉が必要といわれます。ここでは、ミツバチやマルハナバチなどの働きを調べた研究を4つご紹介します。

この記事は、公開されている論文・報告書の要旨や本文をもとに、わかりやすく言い換えたものです。海外の研究は、主に農園での結果です。庭の1〜数本の栽培にそのまま当てはまるとは限りません。

ミツバチを入れたコンテナ栽培の収量(鹿児島大学農学部附属農場・2012年の試験)

どんな研究? ネット張りの温室で、ブルーベリーをコンテナ(鉢)で育てている果樹園の報告です。実が小さく落ちやすかったため、花を訪れる虫が足りないと考え、2012年に温室内へミツバチ(Apis mellifera)の巣箱を2つ置きました。3月19日から9月初旬まで置き、ラビットアイ7品種(149株)とハイブッシュ7品種(117株)を栽培していました。収穫は5月中旬から8月中旬まで、週3回行われました。

わかったこと 収量は、2009年77.3kg、2010年157.2kg、2011年238.5kg、2012年459.9kgと増えました。2012年は前年の約192.8%でした。7月の1か月だけで、収穫量は200kgを超えました。実が小さく落ちやすかったのは、花を訪れる虫が足りないためではないか、と著者は考えました。結果を受けて著者は、ミツバチの放飼が収量を増やすのに有効だったと結論づけています。今後の課題として、枝先のせん定の割合や品種の数の見直しを挙げています。ただし、これは1年だけの比較で、巣箱のない対照区はありません。2012年は枝先のせん定方法も新しく変えており、収量の増加がミツバチだけの効果とは言い切れません。

家庭で育てる人へのヒント ヒント: ネットや温室の中では、花を訪れる虫が入りにくいことがあります。実つきが悪いときは、虫が花に来ているかを観察してみましょう。

ハイブッシュの受粉研究のまとめ(国際共同研究・Journal of Applied Ecology・2023年)

どんな研究? ハイブッシュブルーベリーの受粉について、21の研究、496の園地のデータを集め直して分析した研究です。研究の多くは北米のもので、調べられた品種は限られていました。

わかったこと 受粉する虫の有無で、実のつき方(結実率)のばらつきの64.8%、実の重さの75.9%、種子数の75.2%が説明できました。人の手で受粉を足すと、さらに結実率で10.1%、実の重さで18.2%、種子数で21.5%の説明が加わり、花粉が足りない状態がよく見つかりました。ミツバチの訪花は結実率の5.4%、実の重さの6.5%を、野生のハナバチは3.5%、2.8%を説明しました。ハナバチ1回の訪花あたりでは、野生のハナバチのほうが効率的でした。貢献度は地域によっても違いました。ここでの「説明できた割合」は、実のつき方などのばらつきのうち、その要因で説明できる分の大きさを示す数字です。著者らは、受粉の不足は広く見られるため、ミツバチと野生のハナバチのどちらも、地域に合わせて活用できると述べています。

家庭で育てる人へのヒント ヒント: 世界のハイブッシュ園でも、花粉が足りない場面が多く見つかっています。庭でも、花の時期に受粉する虫が来ているかが、実つきを見るポイントです。

野生のハナバチ・種子数・実の重さ(国際共同研究・Agriculture, Ecosystems and Environment・2025年)

どんな研究? 北米などの260地点のデータで、ミツバチと野生のハナバチの訪花が、ハイブッシュの実の重さにどう影響するかを調べた研究です。実のつき方と種子数を通して影響するのではないか、という仮説を検証しました。

わかったこと 実の重さを最も左右していたのは種子数(種子のつき方)でした。野生のハナバチの訪花は、種子数を通して、実の重さにプラスの影響を示しました。結実率やミツバチの訪花には、同じような影響は見られませんでした。解析には、複数の要因のつながりを調べる方法(構造方程式モデリング)が使われています。著者らは、野生のハナバチは実の品質を、種子数を通して間接的に高めていると述べています。

家庭で育てる人へのヒント ヒント: 実が大きくなるかは、種子がしっかりできるかと関わります。花に来るハチの種類を観察すると、実の大きさを考えるヒントになります。

マルハナバチを入れたハイブッシュ園の実験(米国・Environmental Entomology・2017年)

どんな研究? フロリダ州のハイブッシュの畑で、マルハナバチ(Bombus impatiens)の巣箱を、網で囲った株の中に多め・少なめに入れ、虫を完全に遮断した区や、自然に虫が来る区と比べました。品種は「エメラルド」と「ミレニア」です。

わかったこと 虫を遮断した区では、結実率が両品種とも8%未満でした。ほかの区は58%超でした。実の重さは、区の間で有意な差がありませんでした。種子数にも、はっきりした反応は見られませんでした。調べた株は商業用の畑のものです。フロリダではミツバチに頼る農家が多いものの、マルハナバチのほうが1匹あたりの効率が高いといわれています。著者らは、マルハナバチはブルーベリーの有効な受粉者で、商業用の温室やハウスにも役立つ可能性があると結論づけています。

家庭で育てる人へのヒント ヒント: 虫が来られない状態では、実がほとんどつかない結果でした。ハウスや網の中で育てるときは、受粉の手段を考えておきましょう。

まとめ

ここで紹介した数字は、農園での調査や試験の結果です。ご家庭では、花の時期に、どんな虫が来ているかをのぞいてみるところから始めてみてください。複数の品種を近くに置くことも、受粉を助ける工夫のひとつです。

この記事で紹介した論文・報告

論文の内容は、公開されている要旨・本文を日本語でやさしくまとめたものです。くわしい条件や数字は、下の「参考情報」のリンクから原文をご確認ください。
本記事は公的機関・種苗会社・園芸情報サイトなどの公開情報をもとに作成しています(2026年10月時点)。数値は目安であり、品種・地域・土壌により異なります。農薬を使用する場合は必ず登録内容とラベルをご確認ください。

参考情報

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