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ブルーベリーの剪定と収量の研究|樹齢・実の大きさとの関係
ブルーベリーの剪定方法が収量・果実の大きさ・作業時間にどう関わるかを、日本とアメリカの研究報告5本から、実際の数字つきで、家庭で育てる方へのヒントとあわせてやさしくまとめました。数字は論文のとおりに載せています。
研究・論文
剪定は、収量と実の大きさの両方に関わる大切な作業です。ここでは、実際に読んだ日本とアメリカの研究5本から、剪定・樹齢・収量のつながりをやさしく紹介します。
秋の手作業の剪定と実の大きさ(ジョージア大学・2025年)
どんな研究?
アメリカ・ジョージア州南部の農園で、サザンハイブッシュ'Farthing'(2019年植え)を使い、6通りの剪定方法を2シーズン(2022-23年と2023-24年)比べた研究です。夏に機械で刈り込む方法(慣行)と、秋に手作業で枝を選んで切る方法などを比較しました。
わかったこと
- 秋に手で剪定する区(T3)と、夏と秋に手で剪定する区(T4)は、全体の収量が慣行の刈り込み区と有意には変わりませんでした。
- 手で剪定した区は、慣行区や無剪定区より果実が重くなりました。
- 秋に手で剪定した区は、夏に刈り込んだ区より開花が早く、色づきと成熟も早く進みました。2024年にはこの区の糖度(TSS)が最も高くなりました。
- 夏に刈り込んで秋にも手で剪定する区(T1、T6)は、慣行区や無剪定区より収量が少なくなりました。
- 手で剪定する時間は、秋の作業で1株あたり1.3〜3.6分でした。夏の手剪定は5.8分(初年)と4.8分(2年目)でした。
家庭で育てる人・食べる人へのヒント
ヒント:実を大きくしたいときは、枝を選んで切る剪定を試す価値があるといえます。ただし1品種・1農園の結果です。著者も、コストや長期の影響はこれから調べる必要があると述べています。
古い株の更新剪定は何cm残すか(HortTechnology誌31巻2号)
どんな研究?
アメリカ・ミシシッピ州のポプラビルで、20年以上たったラビットアイ'Woodard'の18株を、2017年7月14日に地面すれすれ、または地上50cmで切り戻して、その後の収量を比べた研究です。各9株で比較しています。
わかったこと
- 収量は50cm残した区のほうが大きく上回りました。2019年は1株あたり3.47kg対0.63kg、2020年は3.91kg対1.23kgでした。
- 枝(茎)の本数は50cm区が平均32.6本、地面すれすれ区が17.8本でした。
- 果実の重さと糖度は、2つの区で差がありませんでした。
家庭で育てる人・食べる人へのヒント
ヒント:古くなって収量が落ちた株を若返らせるときは、根元ぎりぎりまで切るより、50cmほど残したほうが早く実がなりました。ラビットアイ1品種、1か所の試験ですので、目安としてお考えください。
交互結実剪定で作業時間を減らす(岩手県農業研究センター・2025年度)
どんな研究?
岩手県で、品種'チャンドラー'(22年生、10aあたり333本の密度)を使い、「交互結実剪定」を調べた試験です。実をつける枝と、翌年の実をつける枝を育てる枝を交互に配置する、簡単な剪定方法です。令和元年から7年のデータの平均で、慣行の剪定と比べました。
わかったこと
- 10aあたりの剪定時間は、慣行の71%でした。
- 剪定と収穫を合わせた作業時間は、慣行の161時間に対して97時間(60%)でした。
- 収量は慣行の935kgに対して510kg(55%)と、減りました。
- 大玉の果実の割合は増え、小さな果実の割合は減りました。
- 試験は'チャンドラー'のみです。他の品種では収量や果実の肥大が違う可能性があると書かれています。
家庭で育てる人・食べる人へのヒント
ヒント:手間を減らすかわりに、収量は減るという交換の関係がはっきり数字で示された研究です。大きな実を少なめに楽しみたい方には参考になりますが、たくさん採りたい場合はそのままではあてはまりません。
若木の簡易剪定と、元気のない株の若返り(北海道・中央農業試験場・2017年度)
どんな研究?
北海道の中央農業試験場による、2012〜2017年の課題の2017年度成果です。若木の簡易な剪定方法と、生育の悪い木を回復させる方法を調べました。
わかったこと
- 'ブルークロップ'(2008年植え)で、前年に伸びた20cm以下の短い枝をすべて毎年取り除くと、作業時間の合計が338時間から256時間(76%)、収穫時間が300時間から205時間(68%)になりました。
- 収量は941kgから740kg(79%)に減りましたが、大きい果実(13mmのふるいの上)の割合は70.9%から85.1%に増えました。
- 1時間あたりの労働生産性は2,709円で、無処理の2,534円の107%でした。
- 5年を超えた古い主枝や込み合いには、いずれ通常の剪定が必要です。
- 衰えた成木(2000年植えの'ブルークロップ')を地上50cmほどまで強く切り戻しても、目に見える弱りはなく、2〜3年で樹と収量が回復し、果実も大きくなりました。なお2017年は霜害の多い年で、結果に影響しています。
家庭で育てる人・食べる人へのヒント
ヒント:若木のうちは、短い弱い枝をまとめて整理すると、手間が減って大きな実になりやすいことがわかります。元気のない大きな株でも、思い切った切り戻しで回復した例があります。
樹の大きさあたりの収量を比べた品種特性調査(岩手県農業研究センター・2024年度)
どんな研究?
岩手県で、樹齢7〜17年のブルーベリー6品種を使い、樹あたりの収量と、樹の体積あたりの収量などを調べた報告です(2025年3月発行)。剪定についての記載はありません。
わかったこと
- 1本あたりの収量は、'チャンドラー'が3,623gで最も多く、'ブルークロップ'は1,827g、'ジャージー'は1,144gでした。
- 樹の体積あたりでは、'ブルークロップ'が1,362g/m³で最も高く、'ジャージー'は349g/m³でした。
- 'チャンドラー'は大玉で、2Lサイズが77.2%でした。'ジャージー'は花芽が多い一方で果実が小さく、収穫に手間がかかるとされています。
家庭で育てる人・食べる人へのヒント
ヒント:樹が大きいほど実がたくさんなるとは限らず、小さめの樹で効率よくなる品種もあるとわかります。庭の広さや、収穫の手間に合わせて品種を選ぶ参考になります。
まとめ
枝を選んで手で切る剪定は、収量を保ちながら実を大きくできる可能性があります(ジョージア大学)。
古い株の更新では、少し高めに残すと早く実が戻りました(ラビットアイ1品種)。
作業を簡単にする剪定は、手間が減る一方で収量が減る場合があります(岩手・北海道)。
品種によって、樹の大きさと収量の関係は大きく違います。
剪定は、収量・実の大きさ・作業時間の3つの間で、何を重く見るかを選ぶ作業ともいえます。たくさん採りたいのか、大きな実を楽しみたいのか、手間を減らしたいのかを先に決めてから、方法を選ぶとよいでしょう。研究から読み取れるのは、どれか一つを得ると別のものが変わる場合がある、という点です。
| 研究 | ひとことで言うと |
|---|
| ジョージア大学 2025 | 手で選んで切ると、収量を保ち実が重くなった |
| HortTechnology 31巻2号 | 古い株は地上50cm残すと早く実が戻った |
| 岩手 2025年度 | 作業は60%に減るが収量は55% |
| 北海道 2017年度 | 短い枝の整理で作業時間は減り大玉の割合は増えた |
| 岩手 2024年度 | 樹の大きさあたりの収量は品種で大きく違う |
どの研究も特定の品種・地域での結果です。ご自宅の品種や気候で同じになるとは限りませんので、目安としてご活用ください。
この記事で紹介した論文・報告
- Selective Hand Pruning Does Not Reduce Yield Of 'Farthing' (Vaccinium corymbosum Interspecific Hybrids)
Zilfina Rubio Ames, Federica Rossi, Natalia Espinoza, Melissa Faulk ・ 2025 ・ Journal of the American Pomological Society 79(2):21-37 (University of Georgia) - Higher Renovation Pruning Height Improves Early Yields of 'Woodard' Rabbiteye Blueberry
E.T. Stafne ほか(全著者名はページで確認できず) ・ HortTechnology 31(2) ・ HortTechnology 31(2) - 管理作業の省力化及び大玉生産が可能なブルーベリーの交互結実剪定法
岩手県農業研究センター 園芸技術研究部 果樹研究室 ・ 2025 ・ 岩手県農業研究センター 試験研究成果書(令和7年度、課題番号R7-指-13) - ブルーベリーの簡易剪定法、生育不良樹の改善法
池永充伸ほか(中央農業試験場 作物開発部) ・ 2017 ・ 北海道 中央農業試験場 平成29年度成果 - 岩手県におけるブルーベリー品種の特性
岩手県農業研究センター 園芸技術研究部 果樹研究室 ・ 2024 ・ 岩手県農業研究センター 試験研究成果書(令和6年度、研究報告第1169号)
論文の内容は、公開されている要旨・本文を日本語でやさしくまとめたものです。くわしい条件や数字は、下の「参考情報」のリンクから原文をご確認ください。
本記事は公的機関・種苗会社・園芸情報サイトなどの公開情報をもとに作成しています(2026年10月時点)。数値は目安であり、品種・地域・土壌により異なります。農薬を使用する場合は必ず登録内容とラベルをご確認ください。
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