ブルーベリーの低温要求量と休眠の研究|暖地で育てるヒント
ブルーベリーが冬に必要とする寒さの量(低温要求量)と休眠、暖かい地域での栽培について、実際に読んだ研究5本を日本語でやさしくまとめました。暖かい地域で育てる方のヒントも、研究の内容にもとづいて紹介します。
読む →ブルーベリーが好む土の酸度(pH)と、根や根に住む菌(エリコイド菌根菌)について、大学や試験場などの研究結果を、数字つきでやさしく読み解きます。pHの目安から菌の働きまで、家庭で役立つヒントを各研究にそえてお届けします。
ブルーベリーは酸性の土を好む植物として知られています。土の酸度(pH)は、根の育ち方や葉の色に直結します。ここでは、土のpHと根、そして根に住む菌についての研究を5つ、やさしくご紹介します。国内の大学や試験場の研究を中心に、数字も交えて読み解いていきます。
どんな研究? ラビットアイ系の「ホームベル」を、pH3.6・4.3・5.3・6.0・6.6に調整した土(赤玉土)で育て、生育と各養分の吸収を比べた研究です。
わかったこと 葉・枝・根の重さは、pH4.3で最も増えました。pH3.6では葉のふちが傷む症状が、pH6.0と6.6では葉が黄色くなる症状(クロロシス)が出ました。カルシウムは土のpHが高いほど葉や根で増え、カリウムは土のpHが低いほど葉で徐々に増えました。鉄やアルミニウムは根にたくさんたまり、pHが低い土でも、地上部への移動は増えませんでした。著者らは、これがブルーベリーの酸性土壌への強さに関わる可能性を述べています。葉の窒素とリンは、pH3.6と4.3で多くなりました。マンガンは葉と枝でpH4.3が最も多く、根ではpH6.0と6.6で減りました。なお、これは1品種を赤玉土で育てた試験の結果です。
家庭で育てる人へのヒント ヒント: この研究の条件では、pH4.3前後がいちばん元気でした。低すぎても葉のふちが傷み、6を超えると葉が黄色くなりやすい結果です。植え付け前に、pHを測っておくと安心です。
どんな研究? 黒ボク土の畑に、1999年にブルーベリーを植えました。硫黄華(いおうか)でpHを4.5に調整した区と、調整しない区を比べ、3年目の生育を「ティフブルー」と「ホームベル」で調べました。
わかったこと 硫黄華を使った区では土のpH(水)が6.70から4.46に下がり、ECは0.02から0.16mS/cmになりました。3年目の樹の大きさは、ティフブルーで樹高1.4m対0.3m、樹冠面積1.5㎡対0.1㎡でした。ホームベルでも樹高1.2m対0.6m、樹冠面積1.3㎡対0.1㎡と大きな差が出ました。枝の枯れ込みの割合は、ティフブルーで0%対50%、ホームベルで0%対20%でした。先端の新しい枝の長さは、ティフブルーで約34.8cm対約3.5cm、ホームベルで約22.8cm対約4.1cmでした。葉の色の濃さ(葉色値)も、ティフブルーで45.0対12.0と大きく違いました。先端に花芽がつく割合は、ティフブルーで36.2%対9.8%でした。硫黄華の区では、枝の途中からも新しい枝が出ていました。
家庭で育てる人へのヒント ヒント: もとの土のpHが高い場所では、植え付け時にpHを整えたかどうかで、3年目の姿が大きく変わった例があります。ただし、この結果は1か所の畑・2品種の試験です。
どんな研究? 高いpHに強いブルーベリーの育種のため、挿し木を低pH(約5.5)と高pH(約6.5)の用土で育て、4か月後の生存・発根・重さを調べた研究です。ブルーベリー3系統(ティフブルーと交配系統2つ)と、近縁の野生種3種を使いました。
わかったこと ブルーベリー系統は、高pHで葉の黄化がはっきり出ました(0〜3の指数で、ティフブルーは1.6)。根の乾燥重量は、1つの交配系統(SpHo-S65G-8)を除いて、高pHで有意に少なくなりました。一方、その交配系統は高pHでも発根と根の成長が保たれ、黄化の指数も0.4と低めでした。野生種のシャシャンボは、発根率が93.3%から53.3%に、ムニンシャシャンボは86.7%から40.0%に下がりました。ブルーベリー3系統の発根率には、pHによる有意な差はありませんでした。地上部(枝葉)の乾燥重量は、どの系統でもpHによる差が見られませんでした。著者らは、この系統の強さは、高pHで根の成長が妨げられにくいことによる可能性を述べています。
家庭で育てる人へのヒント ヒント: 挿し木用の用土でも、pHが高いと根の量が減る傾向が示されました。挿し木をするときは、用土のpHにも気を配ってください。
どんな研究? ブルーベリーなどツツジ科の細い根には、エリコイド菌根菌というカビの仲間が入り込み、養分の吸収や酸性の土での生育を助けるといわれます。この研究は、日本の栽培ブルーベリーと野生のスノキ属(ナツハゼなどと同じ仲間のVaccinium oldhamii)で、根への定着と微生物の顔ぶれを調べました。
わかったこと どちらの植物でも、菌の定着率は高いことがわかりました。また、栽培地域によって根の微生物の顔ぶれが違っていました。栽培条件が、根に住む菌に影響している可能性が示されています。この課題は、菌根菌を使って、肥料や手間を減らした栽培方法をつくることを目指した研究です。(科研費の研究成果概要にもとづきます。)
家庭で育てる人へのヒント ヒント: ブルーベリーの細い根には、菌が高い割合で入り込んでいます。根を大切に扱う意識につながる知識です。
どんな研究? 奄美大島に生えるVaccinium wrightiiの細い根から菌を取り出し、9つの菌株を無菌の苗に接種して、根への入り込み方と苗の育ちを調べた実験室内の研究です。
わかったこと 9つの菌株はすべて根の外側の細胞の中に入り、コイル状やあみ目状の構造をつくりました。Glutinomyces属の菌は、エリコイド菌根菌の代表であるOidiodendron属の菌と同じくらい、密にコイルをつくりました。一方、Pezicula属の5つの株は病原性を示すようで、苗が枯れてしまいました。残る4株は、苗の育ちに大きな影響を与えませんでした。分析した菌の多くは、北半球の高緯度の地域で見つかる菌と近縁か、同じ種でした。著者らは、Glutinomyces属が菌根としての相棒である可能性を、Pezicula属は病原菌である可能性を述べています。(要旨のみを確認した内容です。)
家庭で育てる人へのヒント ヒント: 根にいる菌には、味方になるものばかりとは限らないことが示されました。菌根菌の資材を使うときは、菌の種類や効果の根拠を確認するのがおすすめです。
まずは、お使いの土のpHを測ってみることから始めてみましょう。
ブルーベリーが冬に必要とする寒さの量(低温要求量)と休眠、暖かい地域での栽培について、実際に読んだ研究5本を日本語でやさしくまとめました。暖かい地域で育てる方のヒントも、研究の内容にもとづいて紹介します。
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