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ペルーとチリのブルーベリー|南米が世界の輸出大国になった理由と産地・品種・季節

秋から冬にかけてお店に並ぶブルーベリーの多くは、地球の反対側の南米から届いています。わずか10年あまりで世界一の輸出国になったペルーと、南米の先駆けチリの産地・品種・季節、そして急成長の理由を数字と出典つきで見ていきます。

世界のブルーベリー更新: 2026-10-18

南米は「冬のブルーベリー」を世界に届ける産地

ブルーベリーはもともと北アメリカの植物で、夏に実る果物です。ところが今、スーパーには一年中ブルーベリーが並んでいます。北半球が秋や冬のあいだ、その棚をうめているのが南半球の南米、とくにペルーとチリです。

ペルーは2025年の時点で、生産量でも輸出量でも世界一のブルーベリーの国になり、チリやスペインを上回ったと報じられています(2025年、ペルー国営通信アンディーナ)。2025年の輸出は37万3,514トン、金額は24億5,700万ドルを超え、量は前の年より14.6%増えました(2025年、アンディーナ)。

一方のチリは、ペルーより前から南米のブルーベリー輸出を引っぱってきた「先輩」の国です。アメリカ向けの輸入先として、2019年まではチリが一番でしたが、その年にペルーが追いこしました(2026年、FreshFruitPortal/USDA)。この記事では、二つの国がどのように伸びてきたのか、どこで何がとれて、いつ世界へ運ばれるのかを、数字と出典つきで見ていきます。

ペルー:わずか10年あまりで世界一の輸出国に

ペルーのブルーベリーの歴史はとても新しいものです。畑の面積は2012年にはたった80ヘクタール(1ヘクタールは100m×100m)でしたが、2024/25年シーズンには収穫面積が2万500ヘクタールまで広がりました。10年間の平均で、毎年65%ずつ増えた計算です(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。ペルー政府系の報道では、栽培面積は2万9,127ヘクタールとされています(2026年、アンディーナ)。

輸出量の伸び方も急です。USDA海外農業局によると、ペルーの輸出量(年度は5月から翌年4月まで)は次のように増えました(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。

輸出金額も、2,600万ドルから2023/24年度には20億ドルにまで増えました(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。2023/24年度は収穫が少なく、輸出が大きく落ちこんだ年でしたが、次の年度には32%増えて持ち直しています(2025年、Fruitnet/USDA海外農業局)。

イリノイ大学の分析では、ペルーは2013年にはほとんど生産がない状態から始まり、2017年にスペイン、2019年にチリ、2020年にカナダを生産で追いこしたとされます。生産したブルーベリーのおよそ90%は輸出されています(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。つまり、ペルーのブルーベリーは「国内で食べるため」ではなく、「世界に売るため」に育てられているのです。

ペルーの主な産地と品種

北の海沿いに集まる産地

ペルーの産地は、太平洋に面した北部の海沿いに集中しています。輸出向けの生産の80%は北部のラ・リベルタ、ランバイエケ、アンカシュ、ピウラで行われています(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。

面積で見ると、ラ・リベルタが1万2,888ヘクタール、ランバイエケが7,519ヘクタール、南部のイカが4,199ヘクタールで、この3つの地域だけで国全体の栽培面積の84%をしめます。イカは新しく植えられる畑がもっとも増えている地域です(2026年、アンディーナ)。

品種は「ビロクシ」から新品種へ

ペルーの成長のきっかけになった品種はビロクシ(Biloxi)です。寒さの少ない土地でも実をつけやすい品種で、2016年には認証を受けた畑の58%がビロクシでした(2024年、FreshPlaza/プロアランダノス)。

その後は新しい品種への植えかえが進み、今の植え付け面積の割合はベンチュラ(Ventura)26%、ビロクシ16%、セコヤポップ(Sekoya Pop)14%、ロシオ(Rocío)7%、その他36%となっています(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。新しい品種は、平均およそ8か月で試験できるといわれ、天気の変化や長い船旅に強い品種の試験が続けられています(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。

また、有機栽培(農薬や化学肥料を決まった基準以上使わない育て方)のブルーベリーは輸出の11%をしめています(2024年、FreshPlaza/プロアランダノス)。

チリ:南米ブルーベリー輸出の先駆け

面積の広がりと品種の入れかえ

チリのブルーベリー畑は、2010/11年度の約7,000ヘクタールから、2021/22年度には1万8,000ヘクタールを超えるまで広がりました(2022年、USDA海外農業局)。2019年には1万8,374ヘクタール(2019年、FreshPlaza)、2023年には1万8,071ヘクタールで、前の年より2%減っています(2023年、FreshPlaza/チリブルーベリー委員会)。

面積が少し減ったのは、生産性が低く、収穫後に日持ちしにくい古い品種の畑1,164ヘクタールを抜き取ったためです。そのかわりに新しい品種が607ヘクタール植えられ、新品種は植え付け面積の20%以上になりました(2023年、FreshPlaza/チリブルーベリー委員会)。

チリで多く出荷されている品種はレガシー(Legacy)、デューク(Duke)、ブルーリボン(Blue Ribbon)などです。2024/25年シーズンのはじめの出荷では、レガシーが45%、デュークが14%、ブルーリボンが12%でした(2025年、Italian Berry/チリブルーベリー委員会)。生食用にはセコヤ(Sekoya)やコレクション(Collection)といった新しい品種が評価され、レガシーやブルーリボンは冷凍用に回されることが増えています(2026年、Portal Frutícola)。

南北に長い国の産地

チリは南北に細長い国で、ブルーベリーの産地も北から南まで広がっています。チリブルーベリー委員会は産地を次の4つのゾーンに分けて収穫の様子を伝えています(2021年、Blueberries Consulting/チリブルーベリー委員会)。

出荷量が多いのは中南部で、2025/26年シーズンの出荷のうちマウレ州が37%、ニュブレ州が26%をしめました(2026年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。ニュブレ州は国全体のブルーベリー畑の23%、3,250ヘクタールを持つ産地です(2026年、Portal Frutícola)。

生食用が減り、冷凍が増えた

チリの生食用(生のまま売る)ブルーベリーの輸出は、2021/22年度に10万6,148トンで前の年より9.0%減り、冷凍は5万3,983トンで12.4%増えました(2022年、USDA海外農業局)。2023/24年シーズンの生食用の輸出は約8万トンと見こまれました(2024年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。

生食用の輸出は4年続けて減ったあと、2024/25年シーズンに5%増えて回復に転じました(2025年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。2024/25年シーズンの見通しは、生食用と冷凍を合わせて13万5,501トンで、そのうち冷凍が5万5,000トン(前年比22.2%増)でした(2024年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。2025/26年シーズンの輸出は9万2,900トンで、前のシーズンより2.7%増え、新しい品種が輸出の24%をしめるまでになりました(2026年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。

収穫と輸出のシーズン:ペルーは秋、チリは年末年始

南半球は北半球と季節が反対です。日本やアメリカが秋から冬のころ、南米では春から夏にあたります。ただし、ペルーとチリでは出荷のピークの時期がずれています。

ペルーのブルーベリーのシーズンは5月から翌年4月までとして数えられ、ほとんどの地域で一年に近い期間収穫できます。2024/25年度は、冬が涼しかった影響で輸出のピークが10月から11月になりました(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。多くの生産者は9月から11月に収穫のピークが来るように育てています(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。アメリカ向けの供給のピークは9月から2月です(2026年、FreshFruitPortal/USDA)。

チリはペルーより遅く、出荷のピークは第51週から第3週、つまり12月中ごろから1月中ごろです。北部のコキンボ州は少し早く出荷が始まります(2025年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。

くらべる点ペルーチリ
主な産地ラ・リベルタ、ランバイエケ、イカ、アンカシュ、ピウラ(北部の海沿い)マウレ、ニュブレ、ビオビオなど中南部。北はコキンボから南はロス・ラゴスまで
栽培面積2万9,127ha(2026年、アンディーナ)1万8,071ha(2023年、チリブルーベリー委員会)
輸出量37万3,514トン(2025年、アンディーナ)9万2,900トン(2025/26年、チリブルーベリー委員会)
主な品種ベンチュラ、ビロクシ、セコヤポップ、ロシオレガシー、デューク、ブルーリボン、セコヤ、コレクション
出荷のピーク9〜11月ごろ(2024/25年度は10〜11月)12月中ごろ〜1月中ごろ(第51週〜第3週)
最大の輸出先アメリカ(2023/24年度で53%)ヨーロッパ(2025/26年で50%)

※数字はそれぞれ表の中に書いた年と出典のものです。年や数え方(暦年かシーズンか)がちがうため、単純な比較はできません。

なぜ南米は短期間でここまで伸びたのか

理由1:「寒さ」がなくても実る品種

ブルーベリーの多くの品種は、冬にある程度の寒い時間(低温要求)を過ごさないと、春にうまく花をつけません。そのため、かつては「ペルーではブルーベリーは作れない」と本に書かれていました。ペルーの事業家カルロス・ヘレダさんは、2006年から苗さがしを始め、チリから14品種、1万本以上の苗をペルーに持ちこんで試験しました。その中で目立ったのがビロクシです(2023年、FreshPlaza/BBC Mundo)。寒さが少なくても育つ品種が見つかったことで、暖かい国でも栽培できる道が開けました。イリノイ大学の分析も、ペルーの暖かい気候によく合う新しい品種が成長を支えたと説明しています(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。

理由2:砂漠の海沿いを畑に変えたかんがい

ペルーの海沿いは、雨がほとんど降らない砂漠の土地です(2023年、FreshPlaza/BBC Mundo)。そこで大きな役割を果たしたのが、川の水などを畑に引く「かんがい」です。ペルーでは海沿いで最新のかんがい事業が進められ、水を根元に少しずつ落とす「点滴かんがい」が畑づくりの主な費用の一つになっています(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。政府の投資によって、もともと乾いていた土地に新しい農地が生まれました(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。

晴れて暖かく乾いた気候と涼しい夜があるため、ほぼ一年中収穫ができます(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。雨が少ないぶん、水の量を人が細かく決められることも、収穫の時期をねらって育てやすい理由です。イリノイ大学は「海沿いのおだやかな気候のおかげで、生産者がもっとも有利な時期を選んで収穫できる」と述べています。2017年の時点で、ペルーの面積あたりの収穫量はチリやアメリカのほぼ2倍でした(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。

理由3:北半球の「すき間」の季節をねらった

ペルーが世界の市場で戦うには、8月下旬から12月のはじめに実がとれることが大切でした。この時期にはほかにブルーベリーを出せる産地がなかったからです(2023年、FreshPlaza/BBC Mundo)。北アメリカの夏の収穫が一段落したあと、チリの出荷が本格的になる前のすき間をうめることで、アメリカの産地とまともにぶつからずに売ることができました(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。このように、ある産地の出荷が少ない時期を「端境期(はざかいき)」といいます。

理由4:貿易のしくみと物流

2009年に結ばれたアメリカとペルーの自由貿易協定や、植物の病気・害虫をチェックする国の機関の働きも、輸出を後おししました(2025年、イリノイ大学 farmdoc daily)。ペルーのブルーベリーの97%は船で運ばれ、アメリカのフィラデルフィア、オランダのロッテルダム、中国の深圳などの港に届きます(2024年、FreshPlaza/プロアランダノス)。チリでも、ビオビオ州とニュブレ州の有機ブルーベリーは「システムズ・アプローチ」という検査のしくみによって、くん蒸(薬剤のガスで虫を退治する処理)なしでアメリカに送れるようになっています(2022年、USDA海外農業局)。

主な輸出先:アメリカ・ヨーロッパ・アジア

ペルーの輸出先

2023/24年度のペルーの輸出量のうち、アメリカが53%(13万5,367トン)、オランダが23%、イギリスが9%、中国が5%、香港が5%でした。アメリカ向けは2016/17年度の2,485トンから大きく増えています。アメリカに着く港はフィラデルフィアが57%、ヒューニーミが24%、マイアミが13%です(2025年、USDA海外農業局 GAINレポート)。

アメリカが2025年に輸入した生のブルーベリーは7億2,000万ポンド(約33万トン)で、そのうちペルー産が過去最高の4億600万ポンド、56%をしめました(2026年、FreshFruitPortal/USDA)。2026年1月から7月の輸出金額で見ると、アメリカが56%、オランダが16.9%、中国が5.8%で、台湾、インド、コロンビアといった新しい市場も育っています(2026年、アンディーナ)。オランダはヨーロッパの入り口となる港があるため、ここからヨーロッパ各地に運ばれます(2023年、FreshFruitPortal)。

チリの輸出先

チリにとってもアメリカは長いあいだ一番の市場で、生食用と冷凍を合わせた輸出量の半分以上をしめてきました(2022年、USDA海外農業局)。ところが2025/26年シーズンにはヨーロッパ向けが4万6,768トンで全体の50%となり、アメリカ向けは37%に下がりました。台湾向けは84%、韓国向けは11%増え、アルゼンチンやブラジルなど中南米向けも11.7%増えています(2026年、FreshFruitPortal/チリブルーベリー委員会)。

まとめ:二つの国のちがいを知ると、ブルーベリーがもっとおいしくなる

ペルーは、寒さがなくても育つ品種と砂漠のかんがいを組み合わせ、北半球の秋という「すき間」をねらって、わずか10年あまりで世界一の輸出国になりました。チリは、南北に長い国土を生かして年末年始を中心に出荷し、古い品種を新しい品種に入れかえながら、ヨーロッパやアジアへと売り先を広げています。

秋から冬にかけてお店で見かけるブルーベリーは、南米の太陽を浴びて、船で海をわたってきたものかもしれません。産地のラベルを見て「これはペルーの秋の実かな」「チリのお正月ごろの実かな」と想像してみると、世界のブルーベリーがぐっと身近に感じられるはずです。

本記事は海外の公開資料(主に英語)を日本語に要約・翻訳して作成しています。統計値は資料の発表年時点のもので、最新の値は出典元でご確認ください。

参考情報

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