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海外のブルーベリー工場|収穫から選果・パック・冷凍・輸出までの流れを日本語で解説

収穫後のブルーベリーは、予冷、光学式の選果、パック詰め、冷蔵輸送という流れで品質を守られています。この記事では、大学資料やメーカー発表、大手企業の施設事例をもとに、海外の工場の仕組みと日本へのヒントを紹介します。

世界のブルーベリー更新: 2026-10-17

収穫したあと、ブルーベリーは工場で何が起きているのか

ブルーベリーは、畑で摘んだ時点で品質の勝負の大半が決まる果物です。ただし、その品質を消費者の手元まで保つ仕組みが、海外では「パッキングハウス(packinghouse:選果・包装施設)」と「コールドチェーン(cold chain:低温流通)」です。この記事では、大学の普及資料、機器メーカーの公式発表、業界誌の記事を読み、収穫後の流れを順に解説します。数字はすべて出典に書かれていたものだけを使い、確認できなかった点は「確認できなかった」と明記します。

1. 収穫後の基本の流れ

生食用(フレッシュ)の流れは、おおむね次の順です。

  1. 収穫:涼しい時間帯に、露や雨で濡れていない果実を、やさしく摘み取る
  2. 予冷(precooling):できるだけ早く冷却施設へ運び、強制通風冷却(forced-air cooling)で果実の温度を下げる
  3. 選果・選別:葉やゴミを除き、大きさ・色・傷・柔らかさで等級に分ける
  4. パック詰め:通気孔のあるクラムシェル(clamshell:蓋つきの透明容器)に詰める
  5. 冷蔵保管・出荷:低温を保ったまま船便や航空便、トラックで輸送する

予冷:温度と時間の目安

米国ジョージア大学(University of Georgia)の普及資料 Blueberry Harvesting and Postharvest Handling によると、収穫後はただちに予冷し、理想の目標は32°F(約0°C、±1°F)です。ただし畑から消費者まで一定の低温を保てない場合は、50〜55°F(約10〜13°C)まで下げる方法が示されています。強制通風冷却は最良の方法とされ、32°Fまで下げるのに90分以上かかることがあるそうです。容器には横方向の空気が通るスリットや穴が必要で、冷却が終わったかどうかは荷の中心部の果肉温度で確認します。

保管条件は温度32±1°F、相対湿度90〜95%、貯蔵期間は品種や扱い方によって約2〜4週間とされています。水分が5〜7%失われると、柔らかくなったりしぼんだりして売り物にならない、とも書かれています。

収穫から冷却までの「待ち時間」も重要です。カナダ農務・農産食品省(AAFC)の研究 Rapid Transit from Field Harvest to Cooling Facility は、収穫から最初の冷却までの時間を短縮すると、見た目、柔らかさ、貯蔵後の炭疽病(anthracnose)の発生に「大きな効果がある」と報告しています。試験は0.5°Cで1週間貯蔵し、その後13°Cで3日間の棚持ち条件に置いて評価したものです。ただし、公開されていた概要には具体的な遅延時間や割合の数字がなかったため、ここでは数値は紹介しません。

CA・MAパッケージ

同じジョージア大学の資料では、改変雰囲気包装(MAP:modified atmosphere packaging)と調整雰囲気貯蔵(CA:controlled atmosphere)の目安として、二酸化炭素15〜20%、酸素5〜10%が挙げられています。腐敗菌の発生を抑える目的で、パレット全体にかぶせるカバーや消費者向けパッケージにも使われます。どちらも、果実を速やかに冷やしたうえで行うことが前提です。

2. 選果機・パッキングラインの仕組み

手作業の選別に代わり、大規模な施設では光学式選別機(optical sorter)が使われます。ここでは、公式発表や業界誌で内容が確認できたものだけを紹介します。

TOMRA(トムラ)

業界誌FreshPlazaの記事 TOMRA Food の新しいブルーベリー用光学選別機 によると、TOMRA Foodはベルリンで開かれたFruit Logistica 2026で、生食ブルーベリーを扱うパッキングハウス向けの新しい光学式グレーダーを紹介しました。重視しているのは、乾燥(脱水)の検出、ブルーム(bloom:果皮の白い粉)の保持、選別精度、処理量です。機械の受け渡し部分は、擦れ・圧力・落下高さを減らすよう調整されています。ソフトウェアには深層学習(deep learning)プラットフォーム「LUCAi」が使われ、欠点の種類、確信度、重症度のスコアを出して選別を支援すると説明されています。人手不足や季節労働者が入れ替わる時期にも品質をそろえやすい、というのが同社の主張です。なお、この記事には検出の物理的な仕組みや処理量の数値は書かれていませんでした。

UNITEC(ユニテック)

UNITECの紹介記事 Eurofresh Distribution では、内部品質(柔らかさと糖度Brix)で果実を分けられる「UNIQ Blueberry」と、機械収穫した果実から葉や異物を選別ラインに入る前に除く前選別機「UNI FLY」が紹介されています。数値性能は記事に載っていませんでした。導入例として、カリフォルニアのFamily Tree Farmsは2018年からUNITECと協力し、「Blueberry Vision 3」を備えた2本のブルーベリーラインを追加したと報じられています Fresh Fruit Portal。この記事によれば、各果実を高解像度カメラで100%スキャンし、内部品質(柔らかさ)、外観の欠点、形、大きさ、色で選別して、上位品と下位品(食品加工向け)に分けます。

その他のメーカー

Compac(コンパック)も世界的な選果機メーカーですが、今回の調査では公式の性能情報までは確認できなかったため、詳細は割愛します。いずれの機械も、仕組みの共通点は「カメラ(可視光・近赤外など)で全粒を見て、柔らかさや傷を判定し、空気などで等級別のレーンに振り分ける」ことです。

3. 加工向け:冷凍(IQF)・ピューレ・ジュース・乾燥

生食に向かない果実や、もともと加工用に栽培される果実は、冷凍などに回されます。北米の野生ブルーベリー(wild blueberry)を例にすると、米国メイン州とカナダの野生種は「IQF(individually quick frozen:個別急速冷凍)」の果実として販売されます。北米野生ブルーベリー協会(WBANA)に関する2011年の記事 Frozen wild blueberries には、IQFのほか、缶詰、乾燥、砂糖漬け、ピューレ、濃縮果汁、パウダーの形でも使われると書かれています。小粒で、焼き菓子など加工の工程でも形と色が保たれやすい点が、加工向きの理由として挙げられています。乾燥加工の一つとして、フリーズドライについては /guide/freeze-dried-blueberries/ でも解説しています。

事例:カナダ・ニューブランズウィック州の大規模工場

2016年7月のFreshPlazaの記事 Huge blueberry processing plant opened in Canada によると、Oxford Frozen Foods(Acadian Wild Blueberry Company として運営)は、カナダ・ニューブランズウィック州セントイシドールに加工工場を開きました。収穫期には1日最大150万ポンド(約680トン)の生果を処理でき、冷凍庫の保管能力は4,500万ポンド、施設面積は17万5,000平方フィート、冷凍トンネル2基で、冷却にはアンモニアではなく二酸化炭素を使うとされています。工場費は5,100万ドル超で、予定より1年早く開業したそうです。(トン換算は私の計算で、資料の数字はポンドです。)

4. 大手企業のパッキングハウスの事例

Hortifrut(チリ)

Hortifrutは、ブルーベリー業界の専門メディアの記事 Blueberries Consulting によると、中国・蒙自(Mengzi)に、記事が「アジア最大」と紹介する生食ブルーベリーの選果施設を開きました。収穫期の処理能力は1日120トンで、畑から流通先まで追跡情報をデジタル化しているとされます。同記事の2021年第1四半期の数字では、同社の取扱量は30,256トン、中国の作付けは270ヘクタールでした。なお、これは当時の決算の数字で、現在の規模を示すものではありません。

Camposol(ペルー)

Camposolは、ペルー・ラリベルタ州のチャオ(Chao)にある出荷施設を2026年7月に拡張しました。FreshPlaza と Blueberries Consulting によれば、1日の出荷能力は15から30コンテナへ、完成品の保管能力は48から92フルコンテナ(FCL)へ増え、積み込み用ランプは3から6、原料受け入れは3から4になりました。1,000平方メートルが増設され、別の集荷・冷却センターから冷やされたまま運ばれる果実を受け入れる専用の入口もできたと報じられています。拡張の理由は、ペルーのブルーベリー量の増加に備えるためと説明されています。

Driscoll's(米国)

Driscoll'sも世界的なベリー企業ですが、今回確認できた公式ページには、パッキングハウスの規模などの具体的な数字がありませんでした。そのため数値は掲載しません。

5. 収穫機とフレッシュ用・加工用の違い

収穫方法の詳細は /guide/blueberry-harvesting-machinery/ にまとめています。ここでは、フレッシュ用と加工用の違いに絞ります。米国ミシガン州立大学などの研究を紹介した業界誌の記事 Progressive Crop Consultant によると、現在入手できる乗用型(OTR)収穫機の多くは、果実を傷めやすいため、加工用の収穫に向いています。記事には次の数字が出ています。

このため、生食向けは「収穫の段階から傷をつけない」ことが最優先で、加工向けは「量を速く、低コストで集める」ことが優先されます。光学式選別機でも、中程度から重度のあざがある果実は取り除けなかったという研究結果が、同記事で紹介されています。つまり、選果機は万能ではなく、収穫の優しさが最後まで効いてきます。

6. 日本との違い・日本の生産者/家庭栽培者へのヒント

ここまでの資料は海外のものなので、日本の選果施設の統計までは扱いません。そのうえで、海外の事例から学べる点を整理します。

関連記事として、世界の大規模農園の理由は /world/why-big-farms/、海外の栽培事情は /world/overseas-cultivation/、企業の一覧は /guide/global-blueberry-companies/ も参考にしてください。

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🏭 選果・パッキング・加工工場

Dryce:IQFブルーベリー用の光学選別機

原題: Dryce: Optical Sorter For IQF Blueberries
チャンネル: RAYTEC VISION SpA

光学選別機メーカーRAYTEC VISIONによる、冷凍ブルーベリー向け選別機の紹介動画です。

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本記事は海外の公開資料(主に英語)を日本語に要約・翻訳して作成しています。統計値は資料の発表年時点のもので、最新の値は出典元でご確認ください。

参考情報

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