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なぜ海外のブルーベリー畑はあんなに広いのか|規模・コスト・機械化・輸出のしくみを日本と比べて解説

米国は2024年に約10万4,800エーカー、ペルーは2024/25年度に約2万500ヘクタールと、海外の産地は桁違いの広さです。輸出向けの大量供給、通年収穫、設備投資、企業の参入などの理由を、確認できた数字だけで整理し、日本と比べます。

世界のブルーベリー更新: 2026-10-17

この記事でわかること

海外のブルーベリー産地の映像や写真を見ると、地平線まで続くような畑に驚くことがあります。この記事では、米国とペルーの公的資料・業界誌で確認できた数字をもとに、「なぜ広いのか」を理由ごとに整理し、日本と比べます。あわせて、確認できなかった点(土地価格や米国の機械収穫の最新比率など)は、確認できなかったと明記します。

1. 海外の「広さ」の実例

米国:州ごとに1万エーカー規模の産地が並ぶ

米国農務省・国立農業統計局(USDA NASS)の「Noncitrus Fruits and Nuts 2024 Summary」(2025年5月公表)によると、2024年の米国の栽培ブルーベリー(cultivated blueberry)の収穫面積は合計104,800エーカー(約42,400ヘクタール)、生産量は7億9,530万ポンドでした。主な州の収穫面積は次のとおりです(1エーカー=約0.405ヘクタールで換算)。

州(2024年)収穫面積(エーカー)約(ヘクタール)1エーカーあたり収量(ポンド)
ジョージア23,000約9,3006,010
ワシントン17,500約7,10011,800
ミシガン17,000約6,9004,970
オレゴン14,400約5,80011,500
ニュージャージー10,700約4,3003,980
ノースカロライナ8,000約3,2006,270
カリフォルニア7,800約3,20010,000
フロリダ6,400約2,6004,610
全米104,800約42,4007,590

(出典:USDA NASS「Noncitrus Fruits and Nuts 2024 Summary」。ヘクタール換算は当サイトの計算です。)

なお、米国経済調査局(USDA ERS)の資料を紹介した業界誌FreshPlazaの記事では、2024年の栽培ブルーベリーは約90%を占め、ワシントン・オレゴン・ジョージアの3州で生産のおよそ3分の2に達するとされています。1エーカーあたり収量は州で大きく異なり、ワシントンとオレゴンは1万ポンドを超える一方、ニュージャージーやミシガンは5,000ポンド前後でした(同じNASS資料)。

「1農場あたり」の広さ:ワシントン州の例

米国の2022年農業センサス(Census of Agriculture)の州別表では、ワシントン州のブルーベリー(tame blueberries)は878農場・19,298エーカーでした。単純に割ると1農場あたり約22エーカー(約9ヘクタール)です(当サイトの計算で、平均値であり、実際には数百エーカーの農場から小規模農場まで混在すると考えられます)。センサスは作付け全体の面積、NASSの上表は収穫面積のため、数字は一致しません。他の州の農場数は、今回の調査では確認できませんでした。

ペルー:十数年で80ヘクタールから約2万ヘクタールへ

米国農務省海外農業局(USDA FAS)リマ事務所の「Blueberry Annual」(2025年5月19日付、PE2025-0010)によると、ペルーのブルーベリー面積は2012年に80ヘクタールだったものが、2024/25年度は約20,500ヘクタール、2025/26年度は22,000ヘクタールの予測です。生産量は2024/25年度に34万トン(推定)、輸出は32万トンとされています。

輸出業界団体AGAPの数字を伝えるFresh Fruit Portalの記事(2025年2月27日)では、2024年のペルーの輸出量は32万6,000トン超の過去最高で、企業別ではCamposolが35,440トン、Hortifrut Peruが29,222トン、Agrovision Peruが26,620トンでした。FAS資料の輸出量(2024/25年度で32万トン)とは年度の区切りも数字も少し違うため、「資料により異なる」と考えてください。上位3社の合計は輸出量全体の約3割(当サイトの計算)で、個々の企業の面積(ヘクタール)は、今回読んだ資料には載っていませんでした。

2. なぜ広くなるのか:理由を分解する

理由1 通年に近い出荷ができる気候と栽培法

FAS資料によると、ペルーでは大半の地域でほぼ1年を通じて収穫があり、2024/25年度の輸出のピークは10〜11月でした。北半球の産地が収穫できない時期に出荷できるため、市場に空白が生じにくく、面積を増やしても売り先が見つかりやすい構造です。Camposolの輸出を伝える前述の記事も、同社の生産モデルは「1年12か月」にわたって市場へ供給できるとしています。産地は北部(ラ・リベルタ、ランバイェケ、アンカシュ、ピウラ)に集中し、輸出向け生産の約8割を占めます。

また、地植えで1ヘクタールあたり15〜20トン、ポット栽培(pots)で20〜35トンという収量が報告されています。同じ面積でも収量が高いほど、設備投資を回収しやすくなります。

理由2 灌漑・防風ネットなどの設備が大きな投資になる

FAS資料は、点滴灌漑(drip irrigation)などの灌漑システムが主要な費用で、風や砂から果実を守る大型ネットも使われていると述べています。新規植栽の初期費用は1ヘクタールあたり3万〜15万ドル(平均約6万5,000ドル、最近の投資は8万ドル以上が多い)とされ、条件次第で最短2年で回収できるとも書かれています。1ヘクタールあたりの投資が大きいため、資金を調達できる企業が大面積で参入しやすい、というのがこの数字の読み取り方です。ただし「面積が大きいほど1ヘクタールあたりの費用が下がる」という規模の経済の定量的な数字は、今回確認できた資料にはありませんでした。

理由3 企業・外国資本による農業(アグリビジネス)

FAS資料は、ペルーの業界に米国からも投資があり、約6,500ヘクタール・約4億5,000万ドル(FAS Lima推定)と推計しています。上で見たCamposol、Hortifrut、Agrovisionのような企業が輸出の大きな割合を占めていることも、「企業が大規模に栽培する」産地の姿を表しています。世界の主要企業は 世界のブルーベリー企業 のページもご覧ください。

理由4 輸出向けの大量・安定供給

ペルーの生産34万トン(2024/25年度推定)に対し輸出は32万トンで、生産の大半(約94%、当サイトの計算)が輸出に回ります。輸出額は2023/24年度で約20億ドル、2024/25年度は約23億ドルの見込みです。米国向けだけでも2024/25年度で17万8,000トンでした。海外の大きな小売・輸入業者に継続して供給するには、一定の量をそろえる必要があります。この「売り先が海外にある」ことが、国内市場の大きさに依存しない大面積化を可能にしています。選果・包装の施設については 選果場の記事 で扱います。

理由5 労働力:多いが、機械化が理由ではない

意外かもしれませんが、FAS資料によれば、ペルーの収穫はすべて手摘みで、機械化への言及はありません。業界全体で約13万5,000人の雇用があり、その60%が女性です。2023/24年度は不作の影響で、通常の約3分の1の労働力で足りたとも書かれています。つまりペルーの大面積は「機械で省力化できるから」ではなく、「手摘みの人手を大規模に確保できる」ことと結びついています。一方で、米国の機械収穫(mechanical harvesting)の導入状況については、今回、最新の数字を確認できた資料がありません。機械については 収穫機械のページ をご覧ください。

理由6 土地・規模の経済・米国の産地の事情

土地の価格・入手しやすさについては、今回読んだ資料に数字がなく、ペルーの土地費用はFAS資料にも「データなし」と明記されていました。このため、「土地が安いから広い」と断定することはしません。米国については、収穫面積が1万エーカーを超える州が複数あること、収量が州により2倍以上違うことまでが、確認できた事実です。収量の高いワシントンとオレゴンは、1エーカーあたり約1万2,000ポンドに近く、これは1ヘクタールあたり約13トンにあたります(当サイトの計算)。

3. 日本の状況との比較

日本の統計は、ブルーベリーが農林水産省の「特産果樹生産動態等調査」で扱われています。今回確認できた全国の数字は古く、2012年(平成24年)産で栽培面積599.8ヘクタール、収穫量1,254.96トン(うち出荷980.1トン、加工用306.4トン)でした(神奈川県の資料が農林水産省の同調査を引用したもの)。年が違うので単純比較はできませんが、2024年の米国の収穫面積(約42,400ヘクタール)は、この日本の面積の約70倍にあたります(当サイトの計算)。ペルーの2024/25年度の約20,500ヘクタールと比べても、日本は桁が違います。最新の全国面積と農家あたりの平均規模は、今回の調査では確認できませんでした。

都道府県別の収穫量では、農林水産省「令和4年産特産果樹生産動態調査」を引用した東京都の資料で、東京都が326トンで1位、長野県252トン、群馬県237トン、茨城県204トン、千葉県109トンでした。上位が大消費地の周辺に並んでいることから、日本では消費者の近くで栽培され、摘み取り体験(観光農園)で楽しまれる形が多いと考えられます。和歌山県のJAありだの資料も、樹が低く果実が軽いため収穫が容易で、摘み取り体験ができる観光農園もあると説明しています。

日本の輸入量は、2024年に1,895トン(輸入額約2,500万ドル)で、メキシコが約6割(59.75%)、米国21.26%、チリ14.74%でした(Blueberries Consulting/FreshPlazaの報道)。ペルーの輸出量32万トンと比べると、日本の輸入量は小さな市場です。

4. 日本との違い・日本の生産者/家庭栽培者へのヒント

以上を整理すると、海外の大面積は、(1)輸出向けの大量供給、(2)通年に近い収穫、(3)灌漑・ネットなど大きな設備投資を担える企業の存在、(4)大規模な手摘み労働力、が重なって成り立っています。日本の小規模な農園が同じ土俵で量や価格を競うのは難しいですが、次の点は出典から言える範囲で強みになり得ます。

なお、直売や価格面での優位性を示す統計は今回確認できていないため、ここでは言い切りません。就農や新規参入を考える場合は、各都道府県の普及センターなどで最新の数字を確認してください。世界の面積ランキングは 50年の生産ランキング、海外の栽培全般は 海外の栽培事情 もご覧ください。

データについての注意(資料で確認できなかった点)

関連する海外の動画

YouTube
🚜 機械収穫アメリカ・フロリダ州

フロリダのブルーベリーの機械収穫

タイトル: フロリダブルーベリーの機械収穫
チャンネル: UF IFAS Extension

フロリダ大学IFASエクステンションによる、機械収穫を扱う動画です。

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本記事は海外の公開資料(主に英語)を日本語に要約・翻訳して作成しています。統計値は資料の発表年時点のもので、最新の値は出典元でご確認ください。

参考情報

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