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海外のブルーベリーはどうやって育てている?|ペルー・チリ・アメリカ・スペインの栽培方法を日本語で解説

海外のブルーベリー産地では、気候に合わせて栽培のやり方が大きく違います。この記事では、アメリカの露地栽培、ペルーの砂漠での点滴灌漑と鉢栽培、チリの逆季節輸出などを、英語の資料から日本語で整理し、日本の家庭栽培への応用点も紹介します。

世界のブルーベリー更新: 2026-10-17

はじめに:同じブルーベリーでも、国によって育て方は大きく違います

スーパーに並ぶ輸入ブルーベリーは、ペルーやチリ、メキシコ、スペイン、モロッコなど、さまざまな国から届きます。実はこれらの国では、気候に合わせて栽培のやり方がまったく違います。雪が降る寒冷地で露地栽培する産地もあれば、雨がほとんど降らない砂漠で点滴灌漑(drip irrigation)だけを頼りに育てる産地もあります。

この記事では、英語の業界誌・大学エクステンション・政府系資料など、実際に読んだ資料に書かれている範囲で、各国の栽培スタイルと主要技術を日本語で整理します。国ごとの生産量の順位は世界のブルーベリー生産ランキング、品種の基本はブルーベリー3つのグループも合わせてご覧ください。なお、この記事で扱うのは出典で確認できた国と技術に限っています。

1. 低温要求量で世界の栽培地を分ける考え方

ブルーベリーは、冬の一定時間の低温にあたらないと、春にきちんと芽吹いて実をつけにくい植物です。この必要な低温の量を低温要求量(chill requirement)と呼びます。苗木会社のFall Creek社の分類を紹介したイタリアの業界サイト(Italian Berry)によると、世界の栽培地は次の4つに分けて考えられています。

区分主な栽培地(資料の例)資料にある品種の例
高低温(High Chill)チリ南部、北・東ヨーロッパAurora、Bluecrop、Duke、Last Call、Liberty
中低温(Mid Chill)フランス南部、スペイン北部アストゥリアスLegacy、Blue Ribbon
少低温(Low Chill)アルゼンチン北部、スペイン南部、モロッコStar、Emerald、Jewel、Ventura
低温不要(No Chill)メキシコ中部、ペルー、コロンビア、ケニアBiloxi、Ventura、AtlasBlue

この分け方を知っておくと、以下の各国の違いがぐっと理解しやすくなります。日本の気候との対応は気候と栽培地域、個々の品種は品種図鑑で確認できます。

2. 国・地域ごとの栽培スタイル

アメリカ:露地栽培が中心。北部は機械収穫、南部は手摘み

フロリダ大学IFASの資料(UF/IFAS FE1123、主に2021年のデータ)によると、2021年のアメリカの収穫量は約7億7,410万ポンドで、世界最大でした。生産額は約11億ドルで、州別ではミシガン(約16,200エーカー)、ワシントン(約20,200エーカー)、オレゴン(約14,500エーカー)が大きく、ジョージア、ノースカロライナ、フロリダも上位8州に入ります。栽培ブルーベリーの約55%が生食用として販売されました。

収穫のやり方には地域差があります。同資料によれば、北部の生産者は加工用の果実を機械で収穫することが多く、コストを抑えられます。一方、南部の生産者は生食市場向けに手摘みが中心です。機械収穫は労働力不足を背景に重要性が増していますが、生食用では果実が傷む可能性があります。ラビットアイ系の品種は機械での取り扱いに比較的強いとされています。機械の詳しい仕組みはブルーベリーの収穫機械の記事をご覧ください。

アメリカ南部のジョージアやフロリダでは、春の遅霜(霜害)対策も重要です。Specialty Crop Grower誌(2021年12月13日の記事)では、大学の研究者が、スプリンクラーで花や果実に水をかけ続け、氷で包むことで組織を約0℃(32°F)に保つ「頭上散水(overhead irrigation)」が最も効果的な方法だと説明していると紹介されています。ただし費用が高く、安定した水源が必要で、ジョージアとフロリダでより一般的だそうです。

ペルー:砂漠でほぼ通年収穫、鉢と培地への移行が進行中

ペルーの沿岸部は砂漠気候で、冬は湿度が高く、一部では約95%に達します(FreshPlaza 2023年6月14日)。Camposol社CEOのインタビュー(Blueberries Consulting 2024年5月16日)によると、アンデス山脈がアマゾンの雨を遮り、冷たいフンボルト海流が海を冷やすことで、このような砂漠気候が生まれます。北部の平均気温は20〜26℃で、農業はほぼすべて点滴灌漑に頼り、CEOは「ほとんど水耕栽培に近い農業」と表現しています。同記事では、生産が年間52週にわたって維持されていると述べられています。

面積の拡大は急でした。FreshPlazaによると、作付面積は2016年の1,900haから2022年には17,900ha超に増えました。栽培方法も変化しており、鉢を使う面積は2016年に約5%でしたが、2022年には19%(約3,400ha、土植えは約14,500ha)になりました。ココ繊維(coir)の輸入量は2021年から2022年にかけて約2倍になったとも書かれています。

品種については、Biloxiが2009年ごろからペルーの砂漠気候向けに導入されました(Camposol記事)。FreshPlazaによれば、Biloxiの作付面積の割合は2016年の約53%から2022年には約27%(約4,800ha)に下がり、より高品質な新しい品種へ、土植えから鉢へ、従来型から養液栽培へと移行しています。ペルー・ピスコの農場を紹介したFresh Fruit Portalの記事(2025年3月20日)では、かつてBiloxiとMistiを露地で育てていた事業が、民間育種会社MBOの品種(Eureka Sunrise、Eureka Sunset、Eureka Max、Eureka Goldなど)を中心とする会員制のクラブ方式に移り、約600haを植えていると紹介されています。

チリ:南半球の逆季節に輸出

チリは北半球の冬にあたる時期に収穫して輸出する産地です。Chilean Blueberry Committeeの発表を伝えたFresh Fruit Portal(2026年3月20日)によると、2025-26年シーズンの輸出は約92,900トン(前季比+2.7%)でした。仕向け先は欧州が約50%、アメリカが37%でした。産地は中南部に集中し、マウレ州が出荷の37%、ニュブレ州が26%を占めます。新品種は輸出量の24%(前年は21%)で、従来品種が減る一方、新品種の出荷が増えています。

チリ南部の果樹園づくりを解説したBlueberries Consultingの記事(南部チリの園づくりのポイント)では、土壌のpHは約5.5〜5.8、高畝(raised bed)で根域を確保し、点滴チューブ2本で灌水し、植栽は3×1mまたは3×0.8m(1haあたり約3,333〜4,167株)が一般的とされています。新しい植栽にはFall Creek社由来のTop Shelf、Cargo、Blue Ribbon、Legacy、Last Callが使われ、既存園にはDukeやLegacyがあるそうです。生食用の収穫は手摘みで、南部の収穫者は1日50〜80kgを摘むとされています。なお、この資料は寒さ(低温要求量や霜)には触れていません。

スペイン・モロッコ:冬から春の出荷を担う

スペインのアンダルシア州は2024/25年シーズンに面積4,700ha、生産約66,600トン、1haあたり14.8トンでした(Fruit Today)。EU生産の約32%を占め、EUではポーランド(33.7%)に次ぐ位置です。スペインのブルーベリーの94%超はウエルバ県で作られています。同記事では、面積の75.3%が総合的病害虫管理(integrated production)、19.2%が有機栽培とされています。なお、読んだ資料にはトンネルや培地についての記述がなかったため、スペインの栽培施設の細部はここでは断定しません。

モロッコについては、FreshPlazaの記事(モロッコ産地の記事)に、2020年の生産量が約35,000トンとあり、ブルーベリーは他のベリー類で使われる簡易ハウスより現代的な保護栽培で育てられると書かれています。遮光ネット、細かい霧による冷却、白いフィルムで地温上昇を抑える工夫などが挙げられ、鉢栽培の写真も紹介されています。モロッコとスペインの生産と輸出は、主に北ヨーロッパの季節以外にあたる冬に行われるとされています。

メキシコ:中部を中心に、品種の入れ替えが進む

FreshPlaza(2025年11月27日)によると、2025-26年シーズンの生産は約91,700トンの見通しで、約75%が生鮮輸出向けです。作付面積はハリスコ州3,663ha、ミチョアカン州1,374ha、シナロア州759ha、バハ・カリフォルニア州712haなどです。生産者はBiloxi、Ventura、Victoriaといった旧来の品種から新しい品種へ切り替えています。フロリダ大学IFASの資料(UF/IFAS FE1106)では、2018年のメキシコの収穫期は9月から翌年6月で、2〜5月がピークとされています。

中国:雲南は施設・養液栽培で冬春の果実を供給

FreshPlaza(2026年4月30日)によると、中国のブルーベリー栽培面積は2020年の996,000畝(mu)から2025年に158万畝へ、生産量は347,200トンから810,000トンに増えました。雲南省は冬から春の果実を担い、温室栽培(greenhouse cultivation)と養液栽培・無土壌栽培(soilless system)を使っています。山東省と遼寧省は夏から秋、貴州省と新疆は加工用や晩期の供給に貢献するとされています。品種名は記事にありませんでした。

3. 主要な技術を日本語で解説

鉢・袋を使う基盤栽培(substrate culture / pot culture)

土に直接植えず、鉢や袋に入れたココ繊維(coir)などの培地で育てる方法です。ペルーを主な例にしたBlueberries Consultingの記事(鉢と培地の記事)によると、鉢とココ繊維を使うと、土植えに比べて水を40〜50%節約できたという報告があります。土壌病害のリスクが下がる、根がよく発達する、均一な培地で生産が標準化できる、新しい品種を高い密度で植えやすい、といった利点も挙げられています。土植え100haの面積が、鉢なら150ha超に相当しうるとの記述もあります。

FreshPlaza(2025年6月6日)のPelemix社の事例では、圧縮したココ繊維の袋に水を含ませて膨らませて使う製品が紹介されています。メーカーは、鉢への詰め替えや消毒の手間が減ると説明しています。これは企業の主張である点にご注意ください。

点滴灌漑と養液管理(drip irrigation / fertigation)

水と肥料を細いチューブで根元に少しずつ与える方法です。ペルーはほぼ全面が点滴灌漑、チリ南部でも2本の点滴ラインに1.6L/時のエミッターを使うと書かれています。肥料を水に溶かして与える方法は養液栽培(fertigation)と呼ばれ、培地栽培では特に重要です。今回読んだ資料では、肥料の濃度などの具体的な数値までは確認できませんでした。

受粉:ミツバチ・マルハナバチ

ブルーベリーの花粉は重く、風では飛びにくいため、ハチによる受粉が欠かせません。Michigan州などの情報をまとめたeXtension(bee-health)の資料によると、1つの花にはマルハナバチやほとんどの在来バチなら1回、ミツバチなら3回の訪花が必要です。受粉が不十分だと、実は小さく、熟すのも遅く、たいてい出荷できません。ミツバチは強い巣箱で借り、開花5%以降〜満開の25%までに入れるのがよいとされ、品種ごとの推奨は1エーカーあたり0.5〜8箱と幅があります。マルハナバチ(Bombus impatiens)は低温でも飛び、1回の訪花で受粉できるとされます。チリ南部では1haあたりミツバチ6〜10箱が目安という記述もあります。

防霜・防鳥

霜対策は前述の頭上散水が代表的で、ミシシッピの生産者は主に防霜ファン(wind machine)も使われるが、カバーできる範囲が限られると説明されています。鳥対策は、メイン大学エクステンション(University of Maine Extension)によると、ネットが最も有効で、目合い1/2インチ(約1.3cm)以下の細かいものを選ぶと、鳥がかかって死ぬ事故も減らせます。反射物などはネットの補助にとどまります。

エバーグリーン栽培(evergreen production)

冬のない地域でも育つ品種を使い、収穫と剪定の時期をずらして、ほぼ連続して実を取る方法です。Italian Berryでは「エバーグリーニング」と紹介され、低温不要のメキシコ中部、ペルー、コロンビア、ケニアなどの産地と関連づけられています。

保護栽培(ハウス・ネット)

モロッコの遮光ネットや霧による冷却、雲南の温室栽培が、今回確認できた例です。スペインのトンネル栽培やマクロトンネルについては、読んだ資料に確認できる記述がなかったため、ここでは取り上げていません。

4. 主流品種の傾向

育種や企業については世界のブルーベリー関連企業の記事もご覧ください。

5. 日本との違い・日本の生産者/家庭栽培者へのヒント

日本の栽培は、露地の土植えと鉢植えが中心で、海外のような砂漠での大規模な点滴灌漑とは条件が異なります。ただ、資料から日本の小規模農園や家庭栽培に応用できそうな点は次のとおりです。

なお、海外の統計や数字は年・機関によって異なるため、本文では出典と年を明記しました。数値は参考としてご覧ください。

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2021年版 ブルーベリーの灌漑スケジュール管理

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タイトル: ブルーベリーの苗木の植え方
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ミシシッピ州立大学エクステンションによる、苗木の植え付けを扱う動画です。

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本記事は海外の公開資料(主に英語)を日本語に要約・翻訳して作成しています。統計値は資料の発表年時点のもので、最新の値は出典元でご確認ください。

参考情報

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